アニメで学ぶ歴史#04『異世界はスマートフォンとともに。』第9話

こんにちは! 斜構です。

今回はアニメ『異世界はスマートフォンとともに。』第9話を題材に歴史の知識を深めていきたいと思います。

第9話のあらすじはこちらです。

和風の城下町、徳川家泰領地のオエドに到着した冬夜は、さっそく八重の家へと向かう。女中の綾音と八重の母・七重に会い、八重の父と兄は家泰と共に合戦場へと向かったことを聞く。戦況が劣勢と聞き、合戦の地カワゴエの砦へと向かった冬夜たち。そこで目にしたのは、鬼面を付け、不死の力を得た武田兵であった!どうやら古代文明の強力な魔法道具「アーティファクト」の力ではないかとリーンに伝えられ、その元凶である山本完助を倒しに行くことに!

TVアニメ『異世界はスマートフォンとともに。』公式サイト

徳川と武田が河越で合戦……?

あらすじにある徳川家泰と山本完助という人物は、それぞれ徳川家康と山本勘助がモデルなのは明らかです。アニメ本編では、武田四天王として高坂政信(=高坂昌信)、馬場信晴(=馬場信房)、内藤正豊(=内藤昌豊)、山県政景(=山県昌景)といった名前のキャラも登場しています。

このように、明らかに日本の戦国時代の武将をモデルにしていながら、第9話で視聴者に提示される状況は現実の戦国時代と大きく異なっています。

現実の歴史における河越(川越)での戦い

カワゴエの砦のモデルは、河越城(埼玉県川越市)と考えられます。

戦国時代に河越城周辺で行われた有名な戦いといえば、1546年に行われた「河越夜戦」です。これは北条氏と上杉氏が河越城をめぐって争った合戦で、日本三大夜襲の一つとしても知られています。この戦いに勝利した北条氏は北武蔵における覇権を握ることになりました。

お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、この合戦、徳川も武田も関係ないんです。

徳川家が川越城に関係するようになるのは、豊臣秀吉による徳川家康の関東転封にともなって、酒井重忠が1万石をもって川越に封ぜられ、川越藩が立藩して以後です。武田信玄は10年以上前に死去しています。

現実の歴史における徳川家康と武田信玄の戦い

徳川家康と武田信玄が戦った有名な合戦と言えば、1573年に三方ヶ原(静岡県浜松市)にて行われた「三方ヶ原の戦い」です。

信長包囲網に参加するため京都に向かう武田信玄を、徳川家康は迎撃するも返り討ちにあい、脱糞して浜松城へ逃げ帰ったことで非常に有名な合戦です。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』三方ヶ原の戦い『元亀三年十二月味方ヶ原戰争之圖』

しかし、残念ながらこの戦いも河越(川越)には関係ありません。

つまり「徳川家康と武田信玄が河越で合戦する」という文章は、普通に考えれば成立しないのです。

なぜ徳川と武田が河越で戦うことになったのか?

なぜこのような状況が発生してしまったのでしょうか。

その答えは『異世界はスマートフォンとともに。』の世界にある、戦国時代の日本をモデルにした国、イーシェンの勢力図にありました。

「小説家になろう」にアップされている、原作小説第55話には以下のように書かれています。

 イーシェンは決して大きな国ではない。一応国王がいるらしいのだが、今では名ばかりで、地方の領主が好き勝手に幅をきかせているらしい。

 主だった九人の領主が地方を治め、(度々小競り合いもあるらしいが)なんとか形の上では国王をトップにして、国としては成り立っているようだ。

 九人の領主とは、島津、毛利、長宗我部、羽柴、織田、武田、徳川、上杉、伊達…ってちょっと待て、オイ。

 あまりにも聞き覚えのある名前に思わずツッコミを入れてしまいそうになる。

 ひょっとしてなにか? イーシェンって戦国時代なのか? 八重に確認してみると、そんなことはなく、大規模な戦などここ数十年ないそうだ。

 単なる偶然か。……偶然か?

異世界はスマートフォンとともに。#55 オエド、そして武田勢進軍。

どうやらこの世界では北条氏が存在せず、関東一円は徳川家の勢力範囲となっているようです。

そのため、甲斐を治めていると思われる武田氏の軍が、徳川氏の治めている川越に攻め込むという展開が成立する、というわけです。

アニメでは世界観の説明がなかったので展開に違和感を感じました。しかし、キャラクターの名前は実際の戦国武将とほぼ同じであっても、勢力や歴史は現実の戦国時代と全く違うということを知ると納得がいきますね。

今回のまとめ

① 現実の歴史において河越付近で徳川家と武田家が合戦をしたことはない。

② 『異世界はスマートフォンとともに。』のキャラクターには戦国武将に酷似したものが多数存在するが、勢力や歴史は現実の戦国時代と全く異なる。

③ アニメでは世界観についての説明が不足しており、設定を理解するためには原作小説を読む必要がある。

備考

文責:斜構 宅夫

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